ジャポニウム

昨年末に、周期表における113番目の元素が発見されたことが認定されました。

理研、日本初の新元素発見認定 113番 命名権獲得 :日本経済新聞

理研、アジア初の新元素発見認定 113番、周期表に記載 :日本経済新聞

理化学研究所(理研)によって発見されたということで、日本初、ひいてはアジア初となる新元素の発見ということになります。

 

この113番目の元素は仮称として「ウンウントリウム(Unt)」という名称が与えられていました。

このたび、その正式名称の命名権理研に与えられ、「ジャポニウム(Jp)」や「リケニウム(Rk)*1」、「ワコニウム*2」、「ヤマトニウム*3」、「ニシナニウム*4」、「ユカワニウム(Yk)*5」、「ニッポニウム(Nm)」などの候補が上がっています。

なお、最後のニッポニウムについては原子番号75のレニウムを見るに、採用されなさそうではあります。

 

最終的な決定は当分先になるかと思いますが、理研内では「ジャポニウム」を推す声が多いそうです。

理研内に「ジャポニウム」推す声…元素の名前 : 科学・IT : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 

なお、記事にも記載がありますが、正式名称となった元素名には国名などの由来も少なくないようです。

いくつか例を書いてみました。

番号記号名称発見者由来
21 Sc スカンジウム ドミトリ・メンデレーエフ(ロシア) スカンジナビアを意味するラテン語のスカンジアより
31 Ga ガリウム ポール・ボアボードラン(フランス) フランスを意味するラテン語ガリアより
32 Ge ゲルマニウム クレメンス・ヴィンクラー(ドイツ) ドイツの古名ゲルマニアより
38 Sr ストロンチウム ウィリアム・クラックシャンク
ハンフリー・デービー(イギリス)
スコットランドにあるストロンチアンの地名より
39 Y イットリウム ヨハン・ガドリン(フィンランド) スウェーデンの町イッテルビーより
44 Ru ルテニウム カール・クラウス(ロシア) ルーシ(ロシアの語源)を意味するラテン語のルテニアより
63 Eu ユウロピウム ウジェーヌ・ドマルセー(フランス) 大陸名のヨーロッパより
65 Tb テルビウム カール・グスタフ・モサンデル(スウェーデン) スウェーデンの町イッテルビーより
67 Ho ホルミウム マーク・ドラフォンテーヌ(スイス)
ジャック・ソレ(スイス)/
ペール・テオドール・クレーベ(スウェーデン)
ストックホルムを意味するラテン語のホルミアより
68 Er エルビウム カール・グスタフ・モサンデル(スウェーデン) スウェーデンの町イッテルビーより
69 Tm ツリウム ペール・テオドール・クレーベ(スウェーデン) スウェーデンの町ツーレより
70 Yb イッテルビウム ジャン・マリニャック(スイス) スウェーデンの町イッテルビーより
71 Lu ルテチウム カール・ヴェルスバッハ(オーストリア) パリの古名ルテティアより
72 Hf ハフニウム ニールス・ボーア(デンマーク) コペンハーゲンを意味するラテン語のハフニアより
75 Re レニウム ワルター・ノダック(ドイツ)
イーダ・タッケ(ドイツ)
オットー・ベルク(ドイツ)
ライン川を意味するラテン語のレーヌスより
84 Po ポロニウム ピエール・キュリー(フランス)
マリー・キュリー(ポーランド)
ポーランドを意味するラテン語のポロニアより
87 Fr フランシウム マルグリット・ペレー(フランス) 国名のフランスより
95 Am アメリシウム グレン・セオドア・シーボーグ(アメリカ) 大陸名のアメリカより
97 Bk バークリウム グレン・セオドア・シーボーグ(アメリカ) 初めて発見されたカリフォルニア大学バークレー校の地名バークレーより
98 Cf カリホルニウム スタンリー・トンプソン(アメリカ)
ケネス・ストリート(アメリカ)
アルバート・ギオルソ(アメリカ)
グレン・セオドア・シーボーグ(アメリカ)
初めて発見されたカリフォルニア大学の地名および大学名のカリフォルニアより
105 Db ドブニウム リアム・モーランド 発見されたドブナ研究所のある地名ドブナより
108 Hs ハッシウム ペーター・アルムブルスター
ゴットフリート・ミュンツェンベルク
発見された重イオン研究所のあるヘッセン州を意味するラテン語のハッシアより
110 Ds ダームスタチウム ペーター・アームブラスター
ジクルト・ホフマン
発見された重イオン研究所のあるダルムシュタット市より

これら以外には神話、色、科学者、惑星などの名称が由来となることが多いみたいです。

*1:"理研"が由来

*2:研究所がある"埼玉県和光市"が由来

*3:和光市の旧地名"大和町"が由来

*4:発見チームのリーダー森田氏の所属する仁科加速器研究センターの語源、"仁科芳雄"博士が由来

*5:"湯川秀樹"氏が由来