「噴飯もの」誤用半数近く 文化庁の12年度国語調査 :日本経済新聞
とのこと。
日本語は、そのときの認知度や常用漢字の認定度合いなど、様々な理由で漢字の当て字や意味、読み方などが変わっています。
それでも、私は紛らわしい言葉をちゃんとした使い方で使っていきたいと思ってます。
ということで、よくある誤用をまとめてみました。これは正解ではなく私が認識している意味や読み、使い方となります。
噴飯もの
ふんぱんもの。
上記の通り、おかしくてたまらないこと。「腹立たしくて仕方ないこと」というイメージをもつのは、噴飯の”噴”が、憤るの”憤”に似ているからではないかと思います。
流れに棹さす
ながれにさおさす。
傾向に乗って、ある事柄の勢いを増す行為をすること。
棹は勢いを止めるためのものではなく、漕いで勢いを出すもの。
わきから邪魔をする「水を差す」という言葉が混同してしまうのかもしれません。
役不足
やくぶそく。
その人の力量に対して、役目が不相応に軽いこと。
この場合、不足しているのは人ではなく役のほう。人側の力量が不足している場合には、「力不足」「役者不足」などになる。
気が置けない
きがおけない。
気遣いする必要がない。遠慮がない。
「気が置ける」という言葉は、”気を使う”といった意味で、遠慮してしまうようなさま。
須く
すべからく。
当然なすべきこととして。本来ならば。
「須く~べし」という形で用いる。”全て”、”総じて”というような意味合いは無い。
さわり
一般的に話や物語などの要点、または、最も興味を引く部分。
「話のさわりだけ聞かせる」というような用例は、導入部分を指すものではない。
姑息
こそく。
一時のまにあわせに物事をすること。また、そのさま。一時しのぎ。
”卑怯”や”狡賢い”という意味ではない。
檄を飛ばす
げきをとばす。
人々を急いで呼び集める。また、自分の主張や考えを、広く人々に知らせて同意を求める。
がんばるよう激励するよう用いるのは間違い。
憮然
ぶぜん。
失望してぼんやりするさま。失望や不満でむなしくやりきれない思いでいるさま。
何故かわからないが、「憮然とした態度で佇んでいた」などと書かれていると、どうしても”ふくれっ面”が思い浮かんでしまうが、意味合いは異なる。
失笑
しっしょう。
おかしさに堪えきれず、ふきだして笑うこと。
”笑いも出ないくらいあきれる”というような意味ではない。笑いを失うと書くのだから誤解も招くものだと思うが、笑っては失礼な場面で笑ってしまう、というような意味。「失言」「失火」といった単語に近い。
にやける
男が変にめかしこんだり、色っぽいようすをしたりする。
漢字で表すと「若気る」。”薄笑いを浮かべている”というような意味ではない。
ほくそ笑む
悪い意味での笑い、と捉えがちだが良い意味の場合で使っても不自然ではない。
もともと”ほくそ”とは「北叟(ほくそう)」という昔の中国の人物を指し、喜ぶときも憂うときも少し笑ったということから転じた言葉。
意味としては、”物事が思い通りになり、ひそかに笑う”といった感じ。
割愛する
かつあいする。
惜しいと思っているものを、思い切って捨てたり省略したりすること。
”省略する”といった意味で捉えるのは正しいが、省略する理由は”不必要なものを切り捨てる”ためではない。
敷居が高い
しきいがたかい。
不義理・不面目なことなどがあって、その人の家に行きにくい。
”躊躇する”というような意味合いに近いですが、その理由は上記のように「不義理・不面目」があるため。”高級過ぎたり、上品過ぎたりして、入りにくい”という意味ではない。
また、力不足などで挑戦するのが躊躇われる場合には「ハードルが高い」などが適当。
スコール
squall。
激しい天候変化(豪雨、落雷あるいは大雪など)を伴う急激な風速の増加現象。
「夕立(ゆうだち)」は”激しいにわか雨”だが、英語だとスコールではなくシャワー(shower)が相当する。
煮詰まる
につまる。
議論や考えなどが出つくして結論を出す段階になること。
煮詰まるとは「煮えて水分がなくなる」ということで、上記のような意味に転じていったようです。
”問題や状態などが行きづまってどうにもならなくなる”といった意味は「行き詰る」という言葉が適当だが、広辞苑の第5版から改訂された第6版では、「煮詰まる」にも「行き詰る」と同じような意味合いが追加されたそうです。へー。
破天荒
はてんこう。
今まで誰もしなかったことをすること。未曽有。前代未聞。
”言動が常識的でないハチャメチャな人”のことではない…はずなのだが。
おもむろに
ゆっくりと。
漢字で表すと「徐に」となる。”いきなり”といった意味とは間逆。「やおら」も「おもむろに」と同様の意味。漢字で表すと「徐ら」。
おざなり? なおざり?
おざなり:漢字で表すと「お座なり」。その場での間に合わせ。
なおざり:漢字で表すと「等閑」。無視して放っておくこと。
以上です。たまに加筆するかもしれません。
それにしても、パソコンや携帯電話によって言葉の意味を正しく知ることは容易になりましたが、反比例して手書きの機会が著しく減りました。
多くの語句を読めるし意味も把握することができるようになりましたけど、書く力はだいぶ衰えてしまったと思います。